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2022年6月 新入荷本のご案内

【神保町PASSAGE Flâneur+ 6月納品本】

今回のプチフェアはクエイ兄弟(Quay Brothers)に纏わる本です。クエイ兄弟関連の本にはポストカード1枚おまけつき。どのポストカードが入っているかは購入されてからのお楽しみに。(画像に写っていないものもあります)

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The Physician's Art: Representations of Art and Medicine

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クエイ兄弟の『Phantom Museum』のサー・ヘンリー・ウェルカム・コレクションに登場した象牙でできた美しい解剖標本と同様の象牙標本が5体掲載されています。余談になりますが、古い医療系オブジェクト好きな私は、91年の発行と同時にたまたまこの本を購入。表紙にもなっているイタリア製象牙の解剖標本の存在を初めて知り、センチメンタルな表情や造形の美しさに感動し、夢中になって色々調べた記憶があります。後にクエイ兄弟の作品に象牙の解剖標本が登場したのを目にした時には“好きな監督と好きなものが同じ”と妙に興奮したものでした。
[版元解説]デューク大学美術館でジュリーV.ハンセンによってキュレーションされた、100を超える珍しい「メディカルアート」オブジェクトの展示の図録。この本は、15世紀から ヨーロッパから極東、アフリカまで、詳細な医療イラストや標本などフルカラーで多数掲載。絶版6600円 SOLD

 

クエイ兄弟の代表作の一つである『ストリート・オブ・クロコダイル』の原作者ブルーノ・シュルツ関連の2冊。

『シュルツ全小説』平凡社ライブラリー     ブルーノ・シュルツ 工藤幸雄

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グロテスクなのに美しい白昼夢のような短編的連作。クエイ兄弟の『ストリート・オブ・クロコダイル』の原作である『大鰐通り』も収録。クエイ兄弟ファンならマストな1冊と言えるのではないでしょうか。

[版元解説]シュルツの生涯は二十世紀に翻弄されつづけた。ナチスの銃弾に斃れるその最期まで、彼が遺した小説は多くない。自身「現実の神話化」と呼んだ作品群は、特異かつグロテスク、ときに荒唐無稽に近い。だが、そこに真実がないと言えるだろうか。『肉桂色の店』『砂時計サナトリウム』の両短篇集から洩れた四篇を加えた全三十二作品を収録。1500円 SOLD

ブルーノ・シュルツの世界』         成文社 加藤有子編

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作家であり画家でもあったシュルツのマゾヒズムな作風のガラス版画や工藤幸雄氏の翻案や柴田元幸氏訳など多数掲載。

[版元解説]ブルーノ・シュルツ(1892-1942)の小説は、現在40ちかくの言語に訳され、世界各地で作家や芸術家にインスピレーションを与えている。そのシュルツは画業も残した。本書は日本語訳者、工藤幸雄氏が所蔵していたシュルツの『偶像賛美の書』を収録するほか、シュルツの美術作品、シュルツ作品のインスピレーション/アダプテーション、翻訳をキーワードにエッセイと論考、シュルツ作品の翻案と翻訳を集める。工藤幸雄に始まる日本のシュルツ受容の展開を示す、はじまりとしてのアンソロジー。2000円 SOLD

 

日常の中に起きる非日常(マジックリアリズム)を体験できる、とシュルレアリストたちが好んで移住したラテンアメリカクエイ兄弟ラテンアメリカ文学を好み映像作品を制作しています。

『案内係』水声社 フェリスベルト・エルナンデス

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ガルシア・マルケスに「1950年にフェリスベルト・エルナンデスの物語を読んでいなかったら、私は今日のような作家にはなっていなかった」と言われ、イタロ・カルヴィーノに「〜誰にも似ていない作家。ヨーロッパにもラテンアメリカ作家にも似たような作家は見当たらず〜」と言われた奇人フェリスベルト・エルナンデス。「チリは詩人、アルゼンチンは短編作家、メキシコは長篇作家、そしてウルグアイは奇人」というジョークまで生まれたという。読みだすと捉えどころがなく困惑し頭の中は「?」でいっぱいになる。しかし読み進めていくうちにどんどん引き込まれていく不思議な読書体験。フェリスベルト・エルナンデスの作品の日本語訳はアンソロジーに過去収録されたことがあったが絶版。現在日本語でまとめて読めるのはこの短編集のみ。短編を通して読むことでより一層、幽けしい奇妙な世界を体験できます。

クエイ兄弟が2013年に制作した短編映画『Unmistaken Hands: Ex Voto F.H.』の原作『水に沈む家』収録。2500円

 

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『愛しのグレンダ』岩波書店 フリオ・コルタサル

クエイ兄弟が度々好きな作家として名前をあげるアルゼンチン作家フリオ・コルタサルクエイ兄弟は「コルタサルは、より秘密めいた別の秩序、現実の真の研究は、法則ではなく、その法則の例外にかかっていると述べている。」と語っており、彼らの作品にも影響を与えています。

『愛しのグレンダ』は短編の名手と呼ばれるコルタサル後期の短編集。日常に垣間見る幻想と入り交じる人間の狂気と政治性。幻想小説の名手でありながら19世紀的リアリズムの破壊を目指した実験的な作品。カバー作品はスペイン人でメキシコに移住したシュルレアリストの画家レメディオス・バロの作品。ちなみにPASSAGEにはこの本を翻訳された野谷文昭さんの棚もあります!1500円

通販も対応しております↓

Flâneur vol.3、4(在庫僅少)、5、おやつマガジン等定番本も引き続きよろしくお願いします!

passage.allreviews.jp

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